公開日: |更新日:
この情報化社会の中で、時代は激しい変化を見せています。ビジネスコーチングは、こうした今にこそ求められる技術であり、自ら考え、行動・判断できる人材を開発するものです。部下だけでなく上司にとってもメリットとなるビジネスコーチングについて説明します。
「コーチング」は、1950年代にアメリカで誕生した人材開発の方法です。日本では、特にスポーツを指導する際にこの言葉が使われ、相手の潜在能力を引き出すことに用いられています。
一方で、ビジネスに特化したコーチングもあり、「ビジネスコーチング」と呼ばれています。
ビジネスにおいては、予想もしていなかった事態に陥ったり、トラブルに見舞われることもありますが、必ずしも誰かが守ってくれるとは限りません。
そのような場合にも自力で乗り切れる力を備えていれば、個人としても会社としても損失やリスクを低く抑えることができます。
ビジネスコーチングの目的は、スポーツにおけるコーチングと同様にそれぞれが持つ潜在能力を引き出すことにあります。
コーチングを通じ、相手に対して新たな気づき、多方面からの視点を植え付けるなど、目的に近づくための行動プロセスを導いていきます。
そのためには、ビジネスコーチングを行う相手と目的や課題をしっかりと共有し、現在の状況やゴール地点、そこまでの問題解決など、より鮮明に具体化することが大切です。結果、コーチングを行う相手から意欲を引き出し、より能力を高められると期待されます。
また、現代社会でこうしたビジネスコーチングの必要が問い出され始めたのは、ビジネス環境の変化が影響しています。個人の価値観が一昔前とは大きく変化した今、単に上層部の指令に従っているだけでは、グローバル化した社会に太刀打ちできないことも多々あります。社員が自分自身で考え、行動・判断ができるような自立した人材が求められているのです。
「ビジネスコーチング」と「コンサルティング」は似ているように捉えられがちで、コンサルティングの一種がコーチングと言えなくもありません。が、しかし、その導き方は大きく異なっています。
コンサルティングでは、専門的な知識を有したコンサルタントが、現状や要望を聞き取りし、目的を達成するまでの方法などを具体的に提示、相手が納得すれば実行します。目的達成に有利であれば、提案自体をコンサルタントが自ら実行することも少なくありません。何よりも目的達成が第一に考えられます。
一方のコーチングは、ビジネス1つひとつの達成のみでなく、その上で長期にわたって活躍できる社員を育成することを目的としています。コーチングを行う側は、社員などの相手と同じ目線で、目的達成へと手を取り合って進んでいきます。パートナーという言葉が近いかもしれません。
指導者的に手段などを提示するのではなく、社員自らがどうすべきかを考え、適切に行動できるよう、その能力の成長を促すことが役目になります。
こうした違いから、ビジネスコーチングのほうがコンサルティングよりも成果が現れるまで時間はかかります。しかし、長期的な目で見れば、人材をスキルアップさせるコーチングは、会社のビジネスそのものの質を上げることにつながります。
実際のビジネスコーチングは、どのような方法で行われているのでしょう。ここでは、その内容について詳しく迫ります。
ビジネスコーチングでは、まず最初に会社の現状をしっかりと把握することから始めます。自分の立ち位置、周囲の環境と動向を確認し、目的や目標を害する事柄が何であるかを見極めます。こうして時間をかけて問題点を洗い出し、今後の課題を立てます。
コーチングでは、このように相手とコミュニケーションを図りつつ、問題点や課題を明確に、より具体的にする過程がとても大切。過程を経ることで、社員は会社での自らの存在価値を見出します。ただし、その課題には、努力次第で解決できることと、できないことがあります。例えば自己肯定感や思い込みなど、心理的なものが働いているとすれば、それはコーチングばかりではなく、専門的なサポートも必要となるでしょう。
問題点を確認し、課題解決へと乗り出すためにはゴール地点の設定も行わなければなりません。ゴールに社員の思い描く理想や成果を明確に置くことで、モチベーションがより一層高まります。
課題を明確にし、目標に到達するためにどう行動すればいいか、具体的に考えていきます。
また、その目的達成のために必要となるリソース(人材・時間・費用・スキル・経験・人脈など)も挙げていきます。このとき、社員の中には、自分の実力に自信がないという人も、まま存在します。そのような場合は、社員が持つ潜在能力に気づかせることもコーチングの大切な役目です。
ここまで来たら、あとは実行あるのみ。目標に向かって行動を起こします。重要なのは、ここまで考えた内容と実際の行動とをきちんと照らし合わせること。修正が必要であれば、その都度直していくことです。改善を繰り返すことこそが、目標達成へのポイントとなります。
ビジネスコーチングの最たるメリットは、責任感の上昇です。上司からの指示を待ってばかりだと、与えられた仕事のみを行う社員になってしまいます。
しかし、ビジネスコーチングを受けたあとには自主的な行動を取れるようになるため、自然と仕事への責任感が身に着きます。
ビジネスコーチングを受けることで、問題解決に取り組み、会社にとって頼もしい存在へと成長することができます。こうした成長は、どう行動すれば目標を達成できるのか、トラブルを解決できるのかなど、コーチングによりプロセスを順序立てて考えられるようになった成果と言えるでしょう。また、このような行動によって自分に自信をつけ、目標や問題に対し、より的確な判断を下せるようになります。
ビジネスコーチングのデメリットとしては、効果が出るまでに時間がかかることが挙げられます。そもそも、コーチングは短期的に効果をあげる手段ではなく、コーチ役との信頼関係を構築することから始めて、時間をかけて進めていくものです。長期的な視点で、じっくりと取り組むことを肝に銘じておきましょう。
コーチングは一般的に1対1で行われます。こうした側面から、コーチングをする側と受ける側に相性が生まれます。仮に相性が合っていない場合、思うような効果が得られない可能性も出てきます。
コーチングする側との相性はどうか、こちらに合わせようとしてくれているかどうか、といった点にも注意してみる必要があります。
ビジネスコーチングは、相手と対等な立場になり、同じ目線で行うことが何より大切です。上に立つ者として指示を出すのとはわけが違います。同一の目標を共に目指し、どのように行動すればいいかを一緒に考える、パートナーという立ち位置でいることが求められます。
また、このようなビジネスコーチングの特徴は、導入するうえで、部下の人材育成のみならず、上司の意識改革にもつながります。一方的な指示ではなく、お互いにコミュニケーションを取り合うことで職場環境の改善にもなります。
ビジネスコーチングを導入する場合には、会社自体が長期的な目で人材の開発や育成を見守らなければなりません。コーチングによる社員の人材育成に時間と手間、そしてコストがかかります。
成果が出るまでも時間がかかることから、スピード感やコストパフォーマンスを大切にする企業などには向かない手法であることも。
しかしながら、長い目で見れば、人材のスキルアップに伴い会社の仕事効率も向上し、成果そのものも長期的に発生します。
現代の情報社会においては、ビジネスの現場もめまぐるしく変化しています。コロナウィルスの世界的な拡散や、ロシアのウクライナ侵攻のように、ビジネス界にまで影響を与える変化がいつ起こるともわかりません。
コンサルティングでは、ノウハウや経験をもとにした具体的な指導が行われますが、古い情報はすぐに廃れ、社会の急激な変化に追いつかないことも珍しくない時代に突入してきました。
これからは社員一人ひとりが、仕事や現場ごとに自ら考え、的確に判断を下す必要がますます増えることでしょう。
ビジネスコーチングはスピードよりも成長を重視した育成方法です。しかし、長い目で見れば、社員一人ひとりが仕事に対し責任を持ち、自分で行動できることこそが、大きな成果につながっていきます。
ビジネスコーチングはコーチングスクールなどで身に着けられる技術です。このサイトではおすすめのコーチングスクールを紹介しているので比較してみてください。
日本国内でコーチングを教えている講師がもつ資格の中で、その【コーチング実績主義】でどこよりも厳しい取得基準をもつ国際コーチング連盟(ICF)資格。特に上位資格をもつ講師なら、経験値や高い指導レベルにあると言えます。
①ICF資格をもつ講師が教えている②ICF資格取得認定コースである③コーチ養成が主目的の講座である
以上の条件をクリアしているコーチングスクールをピックアップいたしました。
※選出条件:「コーチングスクール」でGoogle検索して10ページまでに表示されたコーチング会社・協会の中で、IFC認定コーチが在籍しており、体験コースを実施しているスクールをピックアップしています。(2023年5月24日時点)
国際コーチング連盟認定資格の取得条件は下記の通り
MCC 専門トレーニング:200時間修了/コーチング実績35名以上最低2,500時間(有料2,250時間含む)
PCC 専門トレーニング:125時間修了/コーチング実績25名以上最低 500時間(有料 450時間含む)
ACC 専門トレーニング: 60時間修了/コーチング実績 8名以上最低 100時間(有料 75時間含む)